十訓抄~役立っても役立たなくても…~


梅雨、いつの間にか明けてたみたいですね。

晴天が続いて毎日暑いですが、梅雨時は干せなかった布団を干せる日が多いのは嬉しいかも。

今日は公休だったので、近所のスタジオを借りて2時間ほど楽器の練習してきました。

どうしても練習したいフレーズは3~4カ所なので2時間みっちり指を動かしてかなり良い感じに。

そして先ほどAKB48の22枚目となるシングル『フライングゲット』の劇場盤を予約しました。

第1次抽選だからそんなに焦らなくても良いんですけどね、まあ気合いだけは見せておかないと。

『フライングゲット』はフラゲしません(笑) てか、通常盤すら必要としませんね、個人的に。

気づけばタイトルと関係ない話ばかりになっちゃいましたが、そろそろ本題に入ります。


【原文】
おほかた、世にある道の煩はしくふるまひにくきこと、薄き氷を踏むよりも危ふく、
けはしき流れに棹さすよりもはなはだしきものなり。
荘子、山を過ぎ給ふに、木を伐る者あり。直なるをば伐りて、ゆがめるをば伐らず。
また、ひとの家に宿り給ふに、雁二つあり。主、よく鳴くをば生けて、鳴かざるをば殺しつ。
あくる日、弟子、荘子に申していはく、
「昨日、山中の木は直なるをば伐りてゆがめるをば伐らず。
また家の二つの雁は、よく鳴くをば生けて鳴かざるをば殺しつ。
良き木も伐られ、よく鳴かざるも殺されぬ」と申す。
荘子いはく、「世の中のためし、これにあり」と答へ給へり。
かかるにつけても、よく驕慢をば捨てて、身を慎むべしと見えたり。
文集の詩にいはく、
「木雁一篇須記取 致身材與不材間」
とあるはこれなり。


ふーぬ。考えちゃいますよね。

有能でもダメ、無能でもダメ、って、本当にそうなら確かに中間に位置するしかないでしょう。

生きる時代によっても違うと思います。

荘子は戦国時代の人です。戦国時代と平和な時代とではまったく違うでしょう。

でも、いずれにせよ、もしそういう社会だったら良い人材は決して出てこないだろう、と思いますけどね。

ただ、これは「驕り高ぶってはいけない」という教訓なので、

才能があるからといって出しゃばるな、ということでとらえておけばいいのでしょうね。

でもそう割り切るには、最後の白氏文集の一節が邪魔なんですけど。

最後に現代語訳をしておきましょう。


【現代語訳】
およそ、世の中を生きていく道が煩わしく窮屈なことといったら、薄い氷を踏むよりも危うく、
激流に棹をさして舟を漕ぐのよりもずっと危ういものである。
荘子が歩いて山を行きなさる時に、木を伐るものがいた。真っ直ぐのを伐り、曲がっているのは伐らない。
また、ある人の家に泊まりなさると、二羽の雁がいた。主人はよく鳴くのを生かし、鳴かないのを殺してしまった。
翌日、弟子が荘子に申して言うことには、
「昨日、山中の木は真っ直ぐで良い木を伐って、曲がっているのは伐りませんでした。
また、家の二羽の雁は良く鳴く方を生かして、鳴かない方を殺しました。
良い木も伐られ、よく鳴かない雁も殺されてしまいました」と申し上げる。
荘子が言うには、「世の中の手本はまさにこれである」と答えなさった。
このようなことにつけても、よくよく高慢な気持ちを捨てて身を慎まなければならないと書物に見えている。
白氏文集の詩に言っている、
「木と雁の一篇は記憶しておかなければならない。役に立つものと立たないものの間に身を置きたいものよ」
とあるのはこれである。




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Posted in 古文

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