なんか、今日はたなばたらしいですよ!
たなばた伝説は、簡単に言えば、働かないでいちゃいちゃしていたら罰として引き裂かれて1年に1度しか会えなくされてしまったカップルの話ですね。
詳しくはこちら。
意外と最近の高校生は知らないんで、数年前は驚いたのですが、もう慣れました(笑)
さて、平安時代にももちろん7月7日の星合を見る風習はありました。
10世紀初頭、平安時代の『古今和歌集』秋歌上の巻にもたなばたを詠んだ歌が11首採られています。
約300年後、鎌倉時代の『新古今和歌集』秋歌上の巻では15首採られています。
それぞれから1首ずつ紹介しましょうか。
まずは『古今和歌集』から。
恋ひ恋ひてあふ夜はこよひ天の川霧立ちわたりあけずもあらなん(詠み人知らず)
これ、古今集のたなばたの歌で一番好きです。
朝が来ないで欲しい、夜が明けないで欲しい、ってのはありきたりなんですけどね。
続いて『新古今和歌集』から。
このゆふべふりつるあめはひこぼしのとわたる舟のかいのしづくか(山部赤人)
万葉時代の大歌人、山部赤人の歌です。
「とわたる」は「門渡る」と書き、川、海などを舟で渡る意味です。
現代の七夕は梅雨の時期なのでよく雨が降りますよね。
七夕の夜に降る雨を「洒涙雨(さいるいう)」と言い、織り姫と彦星が流す涙とされます。
この歌では「彦星が舟を漕いでいる滴なのか」と言っています。
これは「ゆふべ」とあるとおり、夕暮れの雨を詠んだ歌ですね。
にしても、七夕伝説では、川を渡るのは織り姫の方ですが、この歌では彦星が渡っていくことになっています。
1年に1度会うというのが大事なので、細かい設定はどうでもいいのかもしれません。
まあとにかくロマンティックですよね。
ちなみに、七夕前夜に降る雨を「洗車雨」と言います。
彦星が前日、デートに使う牛車を洗っているところから来ているそうです。
彦星は牛飼いという設定ですから。
というわけで、たなばたにちなんだ和歌を二首紹介してみました。