少し遅くなってしまいましたが、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
昨年は「おらが春」を引きました。
今年も小林一茶の本をパラパラめくって正月らしい俳句を探してみました。
人並の正月もせぬしだら哉
「しだら」というのは「ありさま、ていたらく」という意味です。
だらだらとぐーたらな正月を送ったのでこれがぴったりです。
とはいえ、一茶がこの句を詠んだ背景には色々あるみたいです。
この俳句は文化十年(1813年)の正月に詠まれました。
その約十年前に一茶の父が亡くなり、実は一茶は弟と遺産相続争いをしていたのでした。
一茶の俳人としての本拠地は江戸で、実家は信濃。
江戸に住みつつ、たまに帰省しては交渉していたのですが、
一茶は文化九年の暮れ、ついに信濃に移り住んでこの争いに決着をつけようとしたのでした。
そして文化十年の一月で相続争いは解決したそうです。
つまり、この句は相続争いが決着する(おそらく)直前の作ということになります。
そんな状況下で詠まれた句ですから、「人並みの正月をしない」というのもぐーたらとは違うでしょう。
ただまあ、作品というのは作者の手を離れたら解釈は自由だと思います。
一つの作品に一つの解釈しか認められないとしたら、なんとも狭いですよね。
ちなみにこの句は「志多良」という句文集に入っているそうです。