源氏物語~帚木~(11)


「もはや、女性はただ家柄によるというものでもないのでしょう。顔立ちのことも言うまい。

とても残念でひねくれているという噂さえなければ、

ただひたすらまじめに、落ち着いた心を持つ女性を、生涯寄り添う妻と思うのが良いでしょう。

必要以上に風流や思慮深さがあるのを喜ばしく思ったりせず、

また少し劣ったところがあるような点に対して無理に要求したりはしないとして。

心配なところがなくおっとりしてさえいれば、うわべの風情は身につけることができますからね。

優美な様子で恥ずかしがって、恨み言をいうべきことも、見知らぬふりで我慢して、

表面上は平気なふりをしていて、それで思いを胸にしまっておけない時は、

言いようもなく冷ややかな言葉や、しんみりするような歌を詠み残し、男が恋しがるような形見を残して、

深い山里や人里離れた海辺などに密かに隠れてしまう女がいるのですよ。

子どもの頃は、女房などがそんな筋の物語りを読むのを聞いて、

とてもしみじみ悲しく、深い心だなあと涙までこぼしたものです。

しかし今思うと、そういう女性の振るまいはとても軽々しく、またわざとらしいことです。

深く愛している男をおいて、

例え実際につらいことがあったとしても、男の心を知らないように逃げ隠れて動揺させ、

男の本心を見ようとするうちに、終わりなき物思いへと発展していく、これはとても空しいことです。

女性は、「思慮深いこと」などと周りに褒められて感情が突き進むと出家して尼になってしまうのですよ。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


なんか不思議な話の展開になってきたような気がしますが。

ここでは女が男の元を離れていってしまうケースについて語り始めたんですね。

しかしこの長く続く女性論。

紫式部自信が他の人と意見を交わしたりでもしたんでしょうかね。

一人でこれをああでもないこうでもないと書いているとはちょっと思えないような。

さあ、来週から書くペースを上げて早く『帚木』を脱却したいと思っています。笑

 

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