源氏物語~帚木~(33)


みな寝静まっているようなので、掛け金を外して襖障子を開けてみようと試みなさったところ、

なんと、向こう側からは掛け金をかけておりませんでした。

几帳を入り口の所に立てて、灯火は薄暗く、唐櫃のようなものが置いてあり散らかっている中を、

光る君は人がいる気配がする所まで分け入って進みなさると、一人とても小柄な女性が横になっています。

女君は人が入ってきた物音に、少しうっとうしく思っていましたが、光る君が顔までかぶっていた衣を払うまでは、

湯浴みから戻ってくるのを待っていた中将の君だとばかり思っていたのでした。

「あなたが中将はどこかと私をお呼びになったのでやって参りました。

人知れずあなたを恋い慕っていた、その思いがやっと通じたかと思って」と光る君がおっしゃるのを、

女君は何が何だか分からず、気が動転するばかりでした。

恐ろしい夢にでもおそわれたような心地がして、「キャッ」と悲鳴をあげたのですが、

光る君の衣の袖が口元を覆っていたせいで、声にもなりませんでした。

「軽々しい気持ちでこんなことを、と思っていらっしゃるのでしょう。

それも当然かもしれませんが、長らくあなたを思い続けていた心の内をお伝えしたくて、

このような機会が訪れるのを待っていたのですから、

決して浅はかな気持ちではないどころか、前世でも結ばれていた深い縁があるものと思ってください」

と、とても優しくおっしゃる雰囲気は、荒々しく恐ろしい神でさえも穏やかにならざるを得ないようでしたから、

女君も何とも言えず中途半端な心持ちで、「ここに人が」などと騒ぎたてることもできません。

耐えがたい気持ちで、あり得ないことだと思うと、情けなくなってきて、

「あの・・・人違いではございませんか」と、やっとの思いで言うのが精一杯でした。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


前回、空蝉が「中将の君はどこ?」と発言していました。

空蝉が言う中将の君というのはもちろん女房名です。

しかし、当時光源氏もまた中将の位に就いているのでした。

それは「帚木」巻の冒頭に書かれていたのですが、覚えていますか?

光る源氏、名のみことごとしう、言ひ消たれ給ふ咎多かなるに、いとどかかる好きごとどもを、末の世にも聞き伝へて、軽びたる名をや流さむと、忍び給ひける隠ろへごとをさへ、 語り伝へけむ人のもの言ひさがなさよ。さるは、いといたく世を憚り、まめだち給ひけるほど、なよびかにをかしきことはなくて、交野少将には笑はれ給ひけむかし。まだ中将などにものし給ひし時は、内裏にのみ候ひようし給ひて、大殿には絶え絶えまかで給ふ。忍ぶの乱れやと、疑ひ聞こゆることもありしかど、さしもあだめき目馴れたるうちつけの好き好きしさなどは好ましからぬ御本性にて、まれには、あながちに引き違へ心尽くしなることを、御心に思しとどむる癖なむ、あやにくにて、さるまじき御振る舞ひもうち混じりける。

というわけで、光源氏は「私をお呼びになりましたよね?」とすっとぼけて空蝉のもとに堂々と進入するのです。

空蝉もえらく驚いて声にもならない声をあげています。

そんな空蝉をもしAKB48メンバーで演じさせたら誰になる?という昔考えていた企画。

誰にしたっけ?と調べてみると、梅ちゃんこと梅田彩佳ちゃんにしていました。

梅ちゃんは今NMB48にいるようです。

これは今考えてみてもベストな人選のように思えます。

というわけで今回はここまで。

 

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