源氏物語~帚木~(34)


気が遠くなりそうなほど動揺している様子はとても気の毒でもあり、またかわいらしくもあったので、

かわいい人だ、と御覧になって、

「人違いなどするはずもございません。心の赴くままこうして来たのに、はぐらかしなさるとは思いもよりませんでした。

私は決して女たらしで浮気な性分からあなたにこのようなことをしているのではありませんよ。

私の胸のうちを少しお話ししたいのです」と言って、とても小柄な女君を抱きかかえて襖障子から出なさる時に、

女君が頼りにして待ちわびていた中将の君がやっと湯浴みから戻って来ました。

「あ、ちょっと」と光る君が声をおかけになると、中将の君は不審に思って声のする方に探り探り寄ってきました。

すると、あふれんばかりの香の匂いが顔に覆いかかるように感じられたので、光る君の仕業だと思い至りました。

中将の君はびっくりして、これはいったいどういうことかと当惑しましたが、

相手が相手だけにどう申し上げたらいいのか分からずにいました。

普通の身分の方が相手であれば、手荒に引き裂けばよいのでしょうが、

その場合ですら、大騒ぎになって多くの人に知られるわけにはいかないので対応は難しいでしょう。

中将の君は焦って光る君を追ってきましたが、

光る君は動じることなく奥のお部屋にお入りになってしまうのでした。

襖障子を閉めて、

「夜明け前にこの女君をお迎えに来るように」とおっしゃるので、

女君は、中将の君がどう思っているだろうかと考えると、死にそうなほどつらくて、

汗も流れてびっしょりになり、とても苦しそうでした。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


女君(空蝉)絶体絶命のピンチです。ていうかアウトです。笑

人妻ですからね。

ところで、前回書くべきだったのかもしれませんが、光源氏の進入経路を確認しましょう。

おそらくこうではないかと想像しました。

光源氏は東庇に寝た、と以前に記述がありました

そして、空蝉は光源氏とはす向かいの所に寝ているようだ、とも書いてありました。

前回、襖障子を開けて空蝉の寝所に侵入した場面がありました。

庇の間と庇の間を仕切る襖障子というのもあるので、

東庇に寝ていた光源氏が、北庇との境にある襖障子を開けて空蝉の寝所に侵入というのもありえます。

しかし、光源氏は起きているとき南面にある庭を眺めて涼みながら話をしていたわけですから、

寝る時も、東庇の南寄りに寝るのが自然ではないかと考えると、空蝉が北庇では遠すぎるように思います。

それに、紀伊の守にとっては、ムカつくとは言え義母ですから、空蝉は母屋の北側に寝ていたのかな、と。

というわけで、図で黄色に塗ったところが光源氏が侵入した襖障子です。

東庇に寝ていた光源氏は、母屋の北東側にある襖障子から侵入して空蝉を捕獲します。

 

その後、奥のお部屋(原文では「奥の御座おまし」)にお入りになった、と記述がありますが、

ここでいう「奥のお部屋」がどこなのか、この点については諸説あるそうで。

母屋の中に赤い線を入れましたが、そのように母屋の中も襖障子で仕切られていたなら、

黄色の襖障子から侵入して、赤い襖障子から母屋の南側に移動したのかもしれません。

あるいは、黄色の襖障子から侵入して、同じ所から退出、

東庇の奥の方に用意されたお部屋に空蝉を連れ出したのかもしれません。

 

さて、この後どうなっちゃうのかしら。ルンルン((´I `*))♪

 

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