源氏物語~桐壺~(16)


高麗人による若宮の人相占いは秘密裏に進められたのですが、それでも自然と噂が広まって、

春宮の祖父の右大臣などは、どういうことだろうかとお思いになっていました。

それ以前に、帝はその聡明なお心から日本流の人相占いをお命じになっていて、

その結果も今回と同じだったものですから、今までこの若宮を親王にもなさらずにいたのですが、

「人相見というのは実に優れたものだなあ」とお思いになって、

「この若宮を後見人もなく、位もない親王などにして頼りない境遇になど置くまい。

私の治世もたいそう心もとないから、この若宮は臣籍に下して朝廷を補佐させるのが将来的にも頼もしかろう」

とお心に決めなさって、いっそう様々な分野の学問を修得させなさるのでした。

若宮の賢明さは際だっていて、臣下にしておくのはとても惜しまれるのですが、

親王とおなりになってしまうと、即位するのではないかと世間に疑われなさるに違いなく、

また天竺流の占いである宿曜の道の者に考えさせなさってもまた同じように申し上げるので、

やはりこの若宮は源氏として臣籍にお下しすることをお心に決めなさいました。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


天皇の子はすべて親王というイメージですが、「親王宣下」というものをうけて初めて親王となります。

若宮も様々な占いの結果、臣籍降下が決まりました。

いよいよ「源」姓を名乗り、「光源氏」とあだ名される日が近づいてきましたね。

ちょっと今回は短いのですが、このあとはもう藤壺ちゃんの話になってしまい、

そうするとまた長々しくなってしまうので、やむなくここで切りました。

では藤壺のお話をお楽しみに♪

 

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