軽そうな女だとはお思いになりながら、光る君は光る君で不真面目なお心をお持ちでしたので、
この女のことも深く心にとどめなさるのでした。
これまでにご覧になってきた女性たちは片時もくつろいだ姿を見せることなどなく、いつもきちんとしていたので、
横顔くらいはご覧になったことがありましたが、
このようにくつろいだ女の姿を覗き見するなど、初めてのことでいらっしゃったので、
油断してこのようにまじまじと見られているのはかわいそうな気もしましたが、
しばらく御覧になっていたいという思いで覗き見ていらっしゃると、小君が出てくる気配がしたので、
光る君は静かにそこをお離れになり、渡り廊下の戸口に寄りかかってお立ちになりました。
小君は、光る君をそのようにお待たせしたことをとても畏れ多いことだと思いつつ言いました。
「予想外な人が来ていまして、姉に近寄ることさえできません」
「そうやって今夜も私を空しく帰そうというのか。驚いたな。とても惨めな思いだ」とおっしゃると、
「どうしてそんなことになりましょうか。あの人が向こうへと帰りましたら、作戦を立てましょう」と申し上げました。
「本当に姉の気持ちを私に靡かせられそうな感じなのだろう。
子どもではあるけれど、人の心を読むことができて、落ち着いているから」とお思いになるのでした。
もう碁は打ち終えたのでしょう、ざわつきながらお付きの女房たちが散り散りに別れていく気配がするようです。
※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。
女たちの描写が終わり、光源氏と小君の話に移りました。
今回に限らず、光源氏の小君への対応は嫌な感じがします。
子どもを使って女性に迫るというのがアリか無しかはさておき、
その作戦が上手くいかなかったor上手くいかなそうな時、容赦なく子どもに愚痴をこぼすってどうなのかしら?
高貴な二枚目がすることとは思えませんが、それは現代人の感覚なのでしょうか。
さて、この後どうにかして空蝉ちゃんに夜這いをかけようというシーンに移っていくわけですが、
実は「空蝉」の巻は非常に短いので、もうそろそろ後半にさしかかります。
続く。
<<戻る 進む>>