覚えるということ。


●覚えていない思い出せない

受験生は、歴史用語、英単語、古文単語など、覚えなければいけない知識の量が膨大です。

特に文系の場合。

模擬試験の問題が解けず、配られた模範解答を見て、

「あー、そうだった!ちゃんと覚えていなかったから・・・」

そして、一生懸命覚え直すという不幸な(?)勉強を一生懸命やりがちです。

でもね、ちょっと待ってください。

模範解答を見て「そうだった」と記憶がよみがえるのであれば、覚えていますよね?

覚えていたはずなのに、思い出せなかっただけですよね?

最初から覚えているものを、いくら覚え直しても効率が良い勉強だとは思えません。

もちろん、まったく意味がないとは言いませんが。

というわけで、受験勉強を始めたばかりの子に、最初に言うことの一つに、

覚えていないのと思い出せないのとは違うんだよ」というのがあります。

正しい答えを聞いて、それがまったく聞き覚えのないことであったなら、

それは本当に覚えていない、知らない知識だったわけですから、しっかり覚えましょう。

しかし、正解を知った瞬間に「あー!」と思えるなら、それは覚えていた、知っていた知識です。

 

●思い出す訓練/思い出しやすい覚え方

せっかく覚えた知識も、必要な時に思い出せなければ評価されません。

そこで必要になってくるのが、「思い出す訓練」です。

例えば、問題集を解くなど、自分が覚えた知識を正しく取り出す訓練が必要になってきます。

よく、知識が入っている頭のことを「引き出し」に例えますよね。

覚えるという作業は引き出しにモノを詰め込む作業です。

問題を解く、というのは引き出しから、しまった知識を取り出す作業です。

 

部屋のタンスの引き出しでも、秩序に基づいて整理されていれば使いやすいですよね。

中に入っているモノが何かすぐ分かるようにスケルトンになっているものもあります。

ラベルを貼ることもあるかも知れません。

そういう風に、しまったものを取り出しやすいように工夫していると使い勝手がいいわけです。

 

同じように、知識も取り出しやすいように覚える必要があります。

靴下と筆記用具と食器と電球と工具が同じ引き出しに突っ込まれていたら、誰だって呆然とするでしょう。

そんな奴いるか!って思いますよね?

でも、根性でひたすら書き殴って覚える、というのはそれに近いものがあると言って良いと思います。

どう覚えたら思い出しやすいかということを考えて、整理しながら覚えていく工夫が必要です。

覚えやすい覚え方よりも、思い出しやすい覚え方を優先してください。

 

古文単語を覚えるときに、

「単語帳に載っている意味を覚えればいいんですか?」

と聞いてくる子は毎年必ずいます。

その質問は間違っていないわけですが、そう聞いてくる子は必ず、

「下に例文も書いてあるし、語源もゴチャゴチャ書いてあるけど、これらは無視していいですか?」

という意味で聞いているのです。

ンナワケアルカ━━━( ▼皿▼)=○)Д)゜゜━━━━ッ!!

例えば、「思ひやる」という古文単語は「①気晴らしをする,②思いを馳せる、想像する」という意味を持ちます。

これを根性で覚えることも可能でしょう。

しかし、「なぜそんな意味になるのか?」を考えながら覚えた方が思い出しやすいのです。

「やる」という言葉は「遣る」と書きます。「派遣」の「遣」、「遣唐使」の「遣」です。

つまり、「遠くに行かせる」という意味を持つ言葉・漢字です。

だから、モヤモヤした思いがある時、その思いを遠くに行かせる、飛ばしてしまうことを「思ひやる」と言ったのです。

また、遠くで起きている出来事を思うこと、遠くにまで自分の心を飛ばして想像することも「思ひやる」と言ったのです。

 

こうやって覚えた方が、格段に思い出しやすいと思いませんか?

更に、例文もちゃんと読み込んでおくことで、その言葉が使われる文脈というのも分かり、思い出しやすさがUPします。

 

急がば回れ、とはまさにこのことです。

ものを覚えるときには、思い出しやすいようなひと工夫をぜひ加えてみてくださいね。

 

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