源氏物語~末摘花~(20)


源氏物語-末摘花-

紫の君を迎え取りなさってからというもの、そのかわいらしさに夢中でいらっしゃり、

六条の愛人の所にさえ、ますます足が遠のきなさるようで、

まして常陸の姫君の荒涼とした邸などは、常々気に掛かっていらっしゃるものの、

お尋ねになる気にならないのは仕方のないことでした。

大袈裟に恥ずかしがって隠している心の内をあばいてやろう、

などというお気持ちも起こらないまま時が過ぎて行くのを、また一方では、

「容姿は優れているということもありえるしな。

やはり暗い中の手探りだけでは分からないこともあるだろうから、ちゃんと顔を見てみたいものだ」

とお思いになりましたが、あまり堂々と見るのもきまりが悪いものです。

姫君が油断していたある宵に、そっと邸内に忍び込んで、格子の隙間から部屋の中を覗きこみなさいました。

しかし、当然ですが姫君のお姿はお見えになりません。

几帳などはひどく傷んでいるものの、ずっと置かれている場所は変わっていないようで、

押しやって乱れたりもしていないのではっきり確認できませんが、女房は四五人ほどおりました。

お膳、食器は舶来品でしたが、みっともないばかりで何の風情もなく悲しくなるほどで、

女房たちは、主人から離れたところで食べています。

隅の間に、とても寒そうな女房がひどく煤けた白い衣服に汚い褶を腰に結んでいるのは不体裁でした。

垂れ落ちそうになりながら櫛をさしているようなのを目にした光る君は、

「内教坊や内侍所なんかにああいうのがいたな」と面白く思っていらっしゃいます。

しかし、自分の身近にそのような者がいようとは夢にも思っていらっしゃいませんでした。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


いよいよ末摘花のご尊顔を拝しに光る君が突入準備に入りました。

まさに悲劇。but同情の余地なし。

まあ紫式部も光源氏みたいな男はやはり許しがたいのでしょう。

たまに痛い目を見せないと、ってところでしょうね。

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