源氏物語~末摘花~(21)


源氏物語-末摘花-

「ああ、それにしても今年は寒いですね。長生きするとこういう年にも巡り合うものだわ」

といって泣いている女房もいれば、

「亡き父宮様がご存命のころ、どうして辛いと思ったのでしょう。

こうして何のあてがなくても過ごせるものなのですねえ」

といって、空を飛ぶのではないかと思うほど寒さに身震いをする女房もおりました。

皆あれこれとみっともないことを嘆きあっています。

それをお聞きになるのさえも耐えがたく思われてそこを離れると、

今いらっしゃったかのように格子をお叩きになりました。

あらあら、などと言って改めて火を灯し、格子を上げて光る君をお入れ申し上げました。

乳母の侍従は斎院にも通う若者だったので、この頃は留守にしているのでした。

いっそう珍妙で田舎めいた感じがして、身に馴染みません。

先ほど年老いた女房が寒いのを嫌がっていましたが、雪はますます激しく降ってきました。

大荒れの空模様で風は吹き荒れ、灯火が消えてしまいましたが、ともす人もおりません。

かつて夕顔の女が物の怪に襲われた夜が思い出されました。

荒れているという点ではあの時の院にも引けを取りません。

邸が狭く、少し人気があるのに心を落ち着けましたが、

寒々しく嫌な感じがして、寝てもすぐに目が覚めそうな夜でした。

面白く、またしみじみと趣深く変わった景色に、普通なら心にとまりそうなものを、

姫君がたいそう陰気で愛嬌に乏しく、何の魅力も感じないことにがっかりしていらっしゃいます。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


結局ガッカリしてる光源氏ですけど。

まあ今回の目的は容姿を確認すること。

なので末摘花の雰囲気とか応対がドイヒーなのは想定内です。

想定外なのは規格外のおぶすであることなんですが、それはもうちょっとだけ後です。

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