枕草子はauと関係ありません。関係ないこと山の如しです。
が、有村架純ちゃんのかぐちゃん画像は別に釣りでもありません。たぶん。
でも、この「ジロりんちょ」「どした?」はキュン死レベルでしたね。(*’-‘*)エヘヘ
今回は枕草子の「うつくしきもの」です。
学校でやったよー、っていう人もいることでしょう。
そして、古語の「うつくし」は必ずしも現代語の「美しい」ではないんだよ、と教わった記憶が蘇る方もいるでしょう。
それを最初に習うのは、今も昔もおそらく『竹取物語』だと思います。
今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。
(中略)
あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
竹からパッカ~~ンした身長10cm弱のかぐちゃんが「うつくしく」座っていた、とのこと。
これは「美しい」ではなく「かわいい」なのだよ、って。
三省堂詳説古語辞典でこの単語を引いてみると、
上代には、肉親・恋人をかわいらしくいとしく思う、愛情の気持ちを表した。中古には、小さいものをかわいいと思う気持ちを表すようになり、それから愛らしく美しいさま、さらには、きれいで美しいさま・立派なさまを表すようになった。
と説明されています。
さて、清少納言が「うつくし」と思うものはどんなものなのでしょう。
①瓜に書いた赤ちゃんの顔。
②舌をチッチッと鳴らして呼ぶとチョンチョンと跳ねながらやって来る雀の子。
③1~2歳くらいの赤ちゃんが急いでハイハイしてくる途中で、落ちていた小さなゴミを目ざとく見つけて、とってもかわいい指でつまんで大人たちに見せてくるの。
④髪は肩くらいまで伸びた赤ちゃんが、目に前髪がかかるのを手で掻きあげずに、首をかしげて何かを見ているの。
⑤小柄な殿上童が、綺麗に着飾ってもらって歩いているの。
⑥かわいい赤ちゃんをちょっと抱きかかえてあやしているうちに、抱きついたまま寝ちゃったの。
⑦ひな人形。
⑧水面に浮かぶ小さな蓮の葉っぱを池から取ったの。
⑨とっても小さな葵の葉。
⑩ていうか小さいもの全部。
⑪色白で、まーるくぷっくりした1歳くらいの子が、明るい紫色の丈の長い薄衣を襷で結ってハイハイしているのも、丈の短い大ぶりの袖の服を来て這い回っているのも。
⑫10歳前後の男の子が、幼い声で漢文を読み上げているの。
⑬足が長くて白くかわいらしいひよこが、ツンツルテンの服を着ているような恰好で一生懸命ピヨピヨ鳴きながら人の前後を歩き回るの。
⑭それから、親鶏がひよこといっしょに駆け足するのも。
⑮雁の卵。
⑯瑠璃の壺。
⑰なでしこの花。
完全に「うつくし=かわいらしい」という感覚で書かれていますね。
赤ちゃんの記述を細かくいくつものシチュエーションに分けて書いているのが興味深いです。
清少納言には子どもはいなかったのではないか、と言われていますが、やっぱり子どもが欲しかったんでしょうね。
あ、原文で「2歳」となっているのは「1歳」に、「2~3歳」は「1~2歳」にしました。
昔は「0歳」という勘定をしなかったので、今の感覚に合わせると-1になります。
それにしても⑮~⑰のやっつけ感、半端ないですね。笑
【原文】
うつくしきもの。
瓜にかきたる児の顔。雀の子の鼠鳴きするに踊り来る。
二つ三つばかりなる児の急ぎて這ひ来る道に、いと小さき塵ありけるを、目ざとに見つけて、いとをかしげなる指にとらへて大人などに見せたる、いとうつくし。
頭はあまそぎなる乳児の、目に髪のおほへるを掻きはやらで、うちかたぶきて物など見たるもいとうつくし。
大きにはあらぬ殿上童の、装束きたてられてありくもうつくし。
をかしげなる乳児を、あからさまに抱きて遊ばしうつくしむほどに、かひつきて寝たるいとらうたし。
雛の調度。蓮の浮葉のいと小さきを池より取りあげたる。葵のいと小さき。
何も何も、小さきものはみなうつくし。
いみじう白く肥へたる乳児の二つばかりなるが、二藍のうすものなど、衣長にて襷結ひたるが這ひ出でたるも、また短きが袖がちなる着てありくもみなうつくし。
八つ、九つ、十ばかりなる男児の、声はをさなげにて書読みたるいとうつくし。
鶏の雛の、足高に白うをかしげに衣短なるさまして、ひよひよとかしがましう鳴きて、人の後先に立ちてありくもをかし。
また、親の、ともにつれだちて走るもみなうつくし。
かりのこ。瑠璃の壺。なでしこの花。