現代語とのギャップが大きい古語その2。
あきる
「飽きる」をイメージする方もいるでしょうが、そちらは古語だとカ行四段活用の「飽く」です。
それはそれで現代語と違うのですが、今回はラ行下二段活用の「あきる」で、漢字表記は「呆る」となり、つまりは現代語の「あきれる」に対応する言葉です。
いふかひなくあきれられて参りたれば…(たまきはる)
→どうしようもなく呆然と途方に暮れて参上したところ…
などと出てきます。
現代語の「あきれる」は、あまりの酷さに驚く、という意味です。
●あきれて物も言えない。
●あきれた態度だ。
など、非難の意が含まれます。
対して、古語の「あきる」は漢字のイメージに近く、
呆然とする、途方に暮れる
という意味です。
従って、上述の例文の意味は、「言いようもないほど呆然としながら参上したところ…」ということです。
「意外なことに驚く」という点では現代語と同じですが、古語では軽蔑的な意味合いは含みません。
ところで、先ほど「漢字のイメージに近い」と書きましたが、漢和辞典で「呆」という字を引くと、
①「保」の古字。②愚かだ。
とした上で、「意外なことに驚く/ほうける」は日本語独自の意味合いとして掲載されています。
愚かだ、の意味を持っているということは、むしろ現代語の「あきれる」の方がオリジナルの漢字の意味を踏まえているように思えなくもないです。
更に詳しく調べると、「呆」という字は象形文字で、「オムツにくるまれた赤ちゃん」の姿をかたどっているのだそうです。
なるほど、「阿呆」とはまるでオムツを履いた赤ちゃん並みに分かっていない人のことを言うのか、と妙に納得してしまいますね。笑
※「阿呆」は中国語にはない日本語独自の表現です。
ちなみに、標準語では「あほう」、関西の方言では「あほ」、とある国語辞典では解説されています。
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