現代日本語で書かれた物語もたまには読みたくなるものです。
近所の書店で書棚を眺めていてふと目に付いたのがこれでした。
歴史小説で、非常に読みやすく、一気に読めました。
歴史小説、というと戦国時代や幕末が花形だと思います。
しかし、これは平安時代の事件を題材とした小説です。
「刀伊入寇といにゅうこう」なんていう事件、日本史好きの人じゃないと知らないのではないでしょうか?
自慢じゃないですが、自分も受験生の時には知らなかったです。
日本史、苦手でしたから。笑
「刀伊」というのは中国東北部(満州)の民族で、女真じょしん族とも言われていたそうです。
刀伊が日本を侵略しようと攻めてきたのが「刀伊入寇」という1019年の出来事です。
この事件に対応したのが、太宰権帥・藤原隆家でした。
太宰権帥だざいごんのそちは太宰府の事実上の長官です。
藤原隆家は、『枕草子』にも登場する人物で、一条天皇の中宮・定子の弟に当たります。
この小説の中にも『枕草子』のエピソードが何回も挿入されます。
どこだったか、1カ所解釈がちと違うだろうと思ったところがありましたが、どこだか忘れました。笑
歴史上の事件を題材としたフィクションですが、実に面白かったです。
隆家が刀伊を撃退するところ(第2部)がクライマックスなのは当然で、そこも緊迫感があって面白いのですが、
花山法皇との争いを中心に描いた第1部が非常に魅力的に思いました。
花山法皇って、とんでもないエピソードがいくつかある人なんで、そりゃあ面白いですよ。
「刀伊入寇」という事件に興味がある人も、『枕草子』や中関白家が好きな人も楽しめると思います。
藤原道長びいきの人は駄目かも。笑