長雨が降り続き晴れ間のない頃に、内裏の御物忌みが続き、ますます光る君は内裏に入り浸りなさるのを、
大臣家では「じれったく恨めしい」とお思いになりつつも、光る君の装いをあれこれ素晴らしく新調なさって、
大臣家のご子息方もまた光る君の宿直所にお勤めなさっているのでした。
大臣の正妻の宮様がお生みになった中将は、特に光る君と仲良くおなりになられて、
管弦のあそびや他愛ないことなども、光る君に対して、他の人よりは気楽に接して親密な風にふるまっていました。
舅である右大臣が丁重にお世話なさるお屋敷は、
中将の君もまたとても嫌がっていたのですが、実はこの方は色好みで浮気性な人なのでした。
ご実家でも、自分の部屋をまばゆいばかりに装飾を施して、
光る君が出入りなさると、それに付き添いなさっては、
夜も昼も、学問もあそびも、光る君と行動をともになさって一歩も後れを取らず、
そんな風にしてどこにおいてもそばを離れず過ごしなさるうちに、
自然と気を置くこともなくなり、心に思うことを隠し立てすることもできないほど、馴れ親しんでいらっしゃいました。
※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。
光源氏のライバル、頭の中将についての語りです。
この人は「桐壺」の最後の方にも名前だけ紹介されていましたが、その時は「蔵人の少将」でした。
何の前触れもなく位が上がっています。
しかし、
①大臣家の正妻宮が生んだ
②右大臣家の姫と結婚している
とあるので同一人物であるのが分かります。
というわけで、新たな登場人物が増えたわけではありませんが、系図を載せておきましょう。
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