源氏物語~帚木~(6)


そう言って、何でも知っていそうな様子であるのに光る君はとても興味をひかれて、

「しかし、その階級というのはどんなだろう。どうやって上中下の三つに分けたらいいのかな。

もともとは高貴な家柄に生まれながらも没落して位も低く、人並みですらないようなのと、

逆に、普通の家柄に生まれつつ上達部などにまで成り上がった人が、

我こそはと言わんばかりに邸の中を飾り立てて人に負けまいとしているのとでは、どちらが高貴でどちらが下賤だろう」

と問いかけなさる時に、左馬の頭と藤式部の丞が、

「我々も御物忌みに籠もりましょう」といって参上しました。

このお二人は世に知れた色好みで、とても口が達者でしたので、

頭の中将は歓迎して、この階級についての問題をあれこれと論じて結論づけようとなさいます。

それはそれは聞き苦しいことが多くございました。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


高貴さについての光源氏の問いかけです。

といっても女性論の続きなので、高貴な家柄の「女性」というのはどういうものか、ということですけど。

成り上がり者、成金、というのは現在でもちょっと違った目で見られがちな気がします。

名家出身で落ちぶれた人とどちらが高貴なのか、これはいちがいに言えないですよね。

いわば、高貴さというのはその地位や家柄だけでなく、その人品も大きな判定要素に加わる気がします。

というのは現代の感覚であって、当時はどうだったのでしょうね。

この問題については次回にも続いていきますのでお楽しみに。

 

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