源氏物語~帚木~(7)


「どんなに成り上がっても、もとの血筋が高貴でなければ、世の人の思いは、表向きとはやはり違うでしょう。

また、もともとは高貴な家柄であっても、生活していく手立てがほとんどなく、

時勢も移ろい、評判が衰えてしまえば、心までもが悪く残念になるようだから、どちらも中級としておくべきでしょう。

国守といって、よその国の内政に関わって精を出している者たちにも階級があって、

その中にも、まあ悪くない中級の者を選び出すことが出来るご時世です。

なまじっかな上達部なんかより、世間の評判も良く生まれも悪くない四位の者が、

気楽に振る舞って生活しているのはとても小気味よいものですよ。

そのようなのは、暮らしに不自由がないものですから、

惜しみなく財を投じてまばゆいほど大切に育てている、非の打ち所もない娘もたくさんいるでしょう。

そんな女性が宮仕えに出仕して、思いがけない幸せを手にした例も数多くありますよ」などと言うと、

「結局の所、裕福であるかどうかによるということみたいだね」と光る君がお笑いになるので、

「あなたらしくないことをおっしゃるものだ」といって頭の中将は憎らしがっておりました。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


さて、訳しがいのあるセリフが目白押しなわけですが、今回の冒頭の台詞は誰のものなんでしょう。

これには、頭の中将説と左馬の頭説の二説あるようです。

別にどっちでもいいじゃん、というのが僕の考えです。笑

光源氏を中心に据えて、やいのやいの言っていることに間違いはないし、それで十分だろうと思います。

それじゃだめなのかな?

 

<<戻る   進む>>

 

Posted in 古文

コメントは受け付けていません。