源氏物語~帚木~(14)


また、絵所に絵の上手な人は多くいますが、大和絵を描くのに下書きを任された人から順々に描いていくと、

上手か下手かの区別はたやすくは見分けることができません。

しかし、人が見ることの出来ない蓬萊山や、荒れ狂う海の恐ろしい魚、中国の凄まじい獣、

目には見えない霊の顔などのような大袈裟に描き上げた絵は、

一際目を引くように自由気ままに描いていて、本当の姿とはほど遠いでしょうが、それはそれで成立しているのです。

世の中に当たり前に存在している山のたたずまい、水の流れ、見慣れている人家の様子がなるほどと見えて、

心惹かれる穏やかなものをさりげなく混ぜて描き、

険しくもない山は木に深く覆われて俗世とはかけ離れた雰囲気で幾重にも連なり、

身近な籬のうちなどは、その家主の気配りや様式などを書くにあたり、

名人は筆の勢いが別格で、下手な人には及ばない所が多いようです。

字を書いても、深いところがなくて、あちこち崩して走り書き、どことなく雰囲気があるのは、

ちょっと見ると才能があって気取った感じですが、やはり本格の書法で丹念に書いているのは、

うわべの華やかさはなくても、

前者のと比べてみるとやはり本格の方に軍配が上がります。

ちょっとしたことでさえこういう具合なのです。

まして、その時々によって気取って見せる人の心ですから、見かけの愛情を信じるのは難しいように思われます。

さて、ここで私自身の昔の話を、好色めいた感じに思われるかもしれませんが、お話ししましょう」

といって、近くに寄るので、光る君も目を覚ましなさいました。

中将の君は左馬の頭の話にとても入れ込んで、頬杖をついて正面に陣取っていらっしゃいます。

まるで法師が世の道理を説教するかのような感じなのも、おかしくはございましたが、

このような折には、それぞれ恋の秘め事を語らずにはいられないのでした。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


左馬の頭は今度は自分の体験談を語ります。

この体験談を乗り切れば(これが長いんだけど・・・笑)いよいよ頭の中将様の出番です。

でもまあ、ウダウダと御託を並べられるのよりはよっぽどましです!

というわけで、まだしばらくは左馬の頭におつきあいくださいませ。笑

 

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