源氏物語~帚木~(36)


女君は、女性らしくおしとやかな人柄なのに無理をして強がっているので、

細くしなやかな竹のような感じがして、光る君もさすがにおいそれと折ってしまうことはできそうにございません。

腹立たしい気持ちで、強引すぎる光る君のやり方を、言いようもないほど憎んで泣く様子はとてもお気の毒でした。

光る君は心苦しい気もしたのですが、「結ばれなかったら後悔するだろう」とお思いになりました。

女君が、慰めようもなく辛いことだと思っておりますと、

「どうしてそのように私をお嫌いになるのですか。

思いがけないこのような出会いこそ、前世からの深い縁で結ばれていたのだと思ってくださいよ。

世間知らずな様子でそんなに泣きじゃくっているのは、責められているようでとてもつらいのですが」

と光る君に恨みごとを言われまして、

「本当に、嫁ぐ前の身でこのようなお気持ちをかけていただいたなら、

有頂天になって、いずれ正式に結ばれる時がくるかもしれないと思って気持ちを慰めたでしょうが。

このように一時的な欲情で契りを結ぶようなことは、胸が張り裂けそうです。

ですが、こうなってしまったからには仕方ありません、せめてこのことは口外なさらないでください」

と申し上げる女君でしたが、そのように思うのも本当にもっともなことでございました。

光る君は一生懸命になって、これからもずっと愛していこうと誓ってあれこれ慰めなさるようです。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


直接は書いてありませんが、光源氏は強引に空蝉ちゃんと肉体関係をもってしまいました。

何してはりますのん、ていうか今だったら強姦ということになります。

まあ、今と昔では法も価値観も違うのですから「今だったら論」はナンセンスでしょう。

 

てゆーかですね、変わらぬ愛を誓っている場合じゃないと思うんですよね!

(●`・ノдヽ・) バカヤロー!!

だって空蝉は人妻じゃないですか。

男が複数の女性と関係を持つのはOKでも、女性が複数の男と関係を持つのはタブーです。

バレなきゃOKというのはいつの世でもそうかもしれませんが、そうはいってもバレたらヤバイのですよ。

 

花山法皇襲撃事件をご存知でしょうか?

花山天皇は何かと問題があったそうで、藤原氏にはめられて退位→出家させられてしまいます。

出家して仏の道に入ったら、女性と関係を持つこと(女犯にょぼん)は禁止になります。

それなのに、花山法皇はある女性と密かに恋愛関係を持っていました。

その女性というのは、藤原為光の四女だったのですが、

この四女には同居している姉の三女がおりまして、この三女は藤原伊周の恋人でした。

伊周は自分の恋人である三女の所に花山法皇が横恋慕して通っていると勘違いし、激怒します。

そして伊周は弟の隆家とともに、花山法皇を襲撃して殺害しようと謀りました。

この事件は殺人未遂で終わりましたが、

「オレの女に手を出したな?!」となると、暴力事件に発展するのは珍しくなかったとされています。

 

だからこそ空蝉も光源氏の強引さを許せず、信じられないと泣きじゃくるのですね。

変わらぬ愛など信じられないし、そもそもこれからも通ってくるなど迷惑千万に違いありません。

 

というわけで、今回はここまでにします。

 

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