白玉と団子と餅と求肥ぎゅうひの違いが分かりません。
ぜんざいに入ってたら白玉で、串に刺さってたら団子?
和菓子はほとんど食べないのでよく分からないのも無理はないですね。
そこで、Wikipediaさんで調べてみました。
白玉・・・白玉粉と呼ばれる米の粉で作った団子。
団子・・・米などの穀物の粉に水やお湯を加えて、蒸したり茹でたりしてできた餅を小さく丸めた菓子。
餅・・・糯米(もち米)を蒸し、臼でついて、さまざまな形にした食品のこと。糯米以外の穀類で作る食品もいう。
求肥・・・白玉粉または餅粉に砂糖や水飴を加えて練り上げたもの。
餅を小さく丸めたのが団子、団子の原料が白玉粉だと白玉、白玉を甘く味付けしたのが求肥、ということのようです。
餅>団子>白玉>求肥 という順で指す範囲が狭まっていくんですね。
【現代語訳】
昔、男がいた。とても自分のものに出来そうにはない女に、数年にわたって求婚し続けていたのだが、
やっとのことで盗んで連れ出して、とても暗い中をやって来た。
芥川という川を、女を連れて通って行く時に、草の上に夜露が降りていたのを見て、
「あれは何ですか」と男に尋ねた。
行く先はまだ遠く、夜もすっかり更けてしまったので、鬼が棲みついている所とも知らずに、
雷までとても激しく鳴り、雨もひどく降っていたので、荒れ果てた蔵に女を押し込んで、
男は弓と胡籙を背負って戸口にいた。
「早く夜が明けて欲しい」と思いつついたが、鬼が瞬く間に一口て女を食べてしまった。
女は「キャー」と悲鳴をあげたが、激しい雷の音にかき消されて男はそれを聞くことが出来なかった。
次第に夜も明けてきたところで見てみると、連れてきた女がいない。
地団駄を踏んで泣くが、無駄なことである。
白玉かなにぞと人の問ひしとき露とこたへてけなましものを
〔あのキラッと光っている物は何ですか、真珠ですか、とあの人が尋ねた時に、あれは露ですよと答えて、自分もその露のようにあっけなく消えてしまえばよかったなあ〕
これは、二条の后が、いとこである女御のもとでお仕えする女房のようにしていらっしゃったところを、
その容貌があまりにも素晴らしくいらっしゃったので、 盗み背負って出て来たのだが、
御兄上である堀河の大臣と、長男の国経の大納言が、まだ低い身分であり、宮中に参上なさった時に、
激しく泣く人がいるのを聞きつけて、引き留めて取り返しなさったのだった。
それをこのように「鬼」と言うのであった。
二条の后がまだとても若くて、普通の身分でいらっしゃった時のことだそうだ。
このお話は『伊勢物語』の第六段です。
いわゆる駆け落ちというやつですね。失敗に終わりますが。
大阪府高槻市を流れる川に「芥川」というのがあり、この話に出てくる芥川はそれだという説があります。
下流で淀川に流れ込んでいく川で、地図で確認できます。
さて、古文で「白玉」とは真珠のことを指します。
「玉」が宝石の意味を持つ言葉だったので、白い宝石=真珠という風につながります。
それにしても、歌の後の本文は必要なのでしょうか。
原作者とは別の誰かが補筆したという説もあります。
フィクションはあくまでフィクションなのですから、実際には誰のことか、などというのは蛇足である気がします。
この物語の「男」が在原業平であるというのが当時の人々にとって暗黙の了解であったにせよ、
「昔、在原業平といふ男ありけり」とはなっていない以上、
その他の人物についても本文中で具体化する必要はないと思いますが、まあ言っても意味のないことですね。笑
【原文】
むかし、男ありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、
からうして盗みいでて、いと暗きに来にけり。
芥川といふ川を率て行きければ、草の上に置きたりける露を、
「かれは何ぞ」となむ男に問ひける。
行く先多く、夜もふけにければ、鬼ある所とも知らで、
神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる蔵に、女をば奥におし入れて、
男、弓、胡籙を負ひて戸口にをり。
はや夜も明けなむと思ひつつゐたりけるに、鬼はや一口に食ひてけり。
「あなや」と言ひけれど、神鳴るさわぎに、え聞かざりけり。
やうやう夜も明けゆくに、見れば、率て来し女もなし。
足ずりをして泣けども、かひなし。
白玉かなにぞと人の問ひしとき露とこたへてけなましものを
これは、二条の后の、いとこの女御の御もとに、仕うまつるやうにてゐ給へりけるを、
かたちのいとめでたくおはしければ、盗みて負ひていでたりけるを、
御兄人堀河の大臣、太郎国経の大納言、まだ下﨟にて内裏へ参り給ふに、
いみじう泣く人のあるを聞きつけて、とどめて取りかへし給うてけり。
それを、かく鬼とは言ふなりけり。
まだいと若うて、后のただにおはしける時とや。