古語のおはなし-3「おろかなり」

現代語とのギャップが大きい古語その3。

おろかなり

現代語では、頭の働きが鈍い様を表し、「馬鹿だ」と同じような意味合いですね。

古語辞典を引くと、

①いい加減だ ②もちろんだ ③ばかだ ④拙い

と出てきますが、古文では①の意味で使われることが圧倒的に多いです。

わづかに二つの矢、師の前にておろかにせんと思はんや。(徒然草)
→わずか二本の矢を、師の前でいい加減に射ようと思うだろうか。いや、思うはずがない。

③は鎌倉時代以降に発生した意味で、「いい加減な考えだ→馬鹿だ」という風に派生していき、現代にいたるのです。

②の「もちろんだ」という意味も現代語に残っていて、「小説はおろか、漫画すら読まない」というような使い方です。

この用法は、もともと「言ふもおろかなり/言へばおろかなり」という慣用表現の略です。

この慣用表現は「言うまでもないことだ」という意味を持ち、よく使われます。


おろかならず

この「おろかなり」という形容動詞に打消の助動詞「ず」がついた「おろかならず」という表現。

実は“いい加減ではない”という意味にはなりません。

“並大抵ではない”という意味になります。

なので、「おろかならずおろかなり」と出てきたら(出てこない)「並大抵ではなくいい加減だ」という意味になります。

この点「なのめなり」という言葉と同じです。

「なのめなり=いい加減だ」「なのめならず=並大抵ではない」となります。

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