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筆者プロフィール
職 業:一色塾古文講師
趣 味:音楽鑑賞
前 世:清少納言
信 仰:松原夏海
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Category Archives: 古文
源氏物語~賢木~(28)
御簾の内の気配、お控えしている大勢の女房たちの衣擦れの音、しっとりと振る舞って身じろぎをしながら、堪えがたい悲しみが漏れ聞こえてくる様子に、たいそうもっともなことだ、と光る君はお聞きになります。
外は激しい風に吹雪いている中、御簾の内からただよってくる黒方香のかおりは深く心に染みいり、仏前の名香の煙もほのかに漂ってきて、何とも言えない雰囲気でした。
更には、光る大将の君が装束に焚きしめているお香のかおりと合わさって、極楽浄土かと思われるほどの夜なのでした。
そこに春宮の御使いも参上しました。
以前に春宮がおっしゃっていたことを思い出しなさり、強固なお心にも堪えがたくて、お返事も十分には申し上げなさることができずにいらしたので、光る大将の君がお言葉を加えなさるのでした。
その場にいた誰もが心を乱していたので、光る君は中宮様へのお気持ちを口に出すこともおできになりません。
「月のすむ雲井をかけて慕ふともこの世の闇になほや惑はむ
〔澄んだ月がうかぶ空に思いをかけるように、澄んだ御心で仏の道を慕って出家したとしても、あなたがお生みになった東宮さまがいらっしゃるこの俗世への未練でやはり迷いが生じるのではないでしょうか〕
と、どうしてもそのように思われてなりません。一方で、出家をご決断なされたことの羨ましさはこの上なく」
とだけ申し上げなさって、女房たちが中宮様の側近くにお仕えしているので、様々に乱れている心の中をお言葉にすることがおできにならず、鬱々とした思いを心に抱えていらっしゃいます。
「大方の憂きにつけては厭へどもいつかこの世を背きはつべき
〔世の中のあらゆることがつらいので出家はしましたが、いつになれば我が子が住むこの世をきっぱりと思い捨てることができるのでしょうか〕
一方ではこのように未練を断ち切れずにおりまして」
などというお返事でしたが、一部分は取り次ぎの女房が付け足したものでしょう。悲しさばかり尽きることがなく胸が苦しいので、光る君は退いて御自邸へお帰りになるのでした。
※雰囲気を重んじた現代語訳です。
さて、1年半以上放置していた『源氏物語』です。
放置のきっかけは当ブログがいきなりぶっ壊れたことでした。
その後、アメブロに移りつつ、このブログも残していたのですが、ぶっ壊れてからしばらく経った後、急に復活したのでした。
ですが、アメブロも軌道に乗っていたので放置は続きました。
しかし、新型コロナウイルスによる外出自粛という意味の分からない政策で軟禁されて暇が極まった今、続きをやってみようかと思うに至りました。
「賢木」の巻、藤壺中宮が突如出家を宣言する、というドラマチックなところで終わっていたのですね。
黒方香(くろぼうこう)とはお香の一種で、こちらのサイトに分かりやすく書かれていますが、冬のお香だそうです。
そのショックに見舞われて放心状態だった光源氏が自邸に戻るところで今回は終了です。
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Posted in 古文
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