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古語のおはなし-4「なつかし」

現代語とのギャップが大きい古語その4。
なつかし
現代語では、過去の事象に対して心を寄せる意味合いですね。
古語辞典を引くと、
①心が惹かれる,親しみを感じる ②愛しい ③懐かしい
と出てきますが、古文では①の意味合いで使われることが多い単語です。
③については、鎌倉時代以降に発生した意味とされています。
春雨に匂へる色もあかなくに香さへなつかし山吹の花(古今和歌集)
→春雨に濡れて美しさの増した色も飽き足らないのに、香にまで心を惹かれることだ。山吹の花は。
この語は、もともと動詞の「なつく」の形容詞ver.です。
「犬がなついてきた」などと言うときの「なつく」です。
「なつく」とは「親近感をおぼえ、馴れ親しむ」ということですね。
ですから、古語の形容詞「なつかし」は、現代語の動詞「なつく」とリンクさせれば理解しやすいでしょう。
「なつかしき夏菓子」というと、現代語なら「子どもの頃に食べた夏菓子を懐かしく思い出している」ということになるでしょうが、古語なら「暑くて暑くて、かき氷でも食べたい!」という気持ちを表していることになるでしょう。
「なつかし」とは心が惹かれることです。
何に心が惹かれているのか、というその対象が、古語では現在のことについて言う方が一般的だったけれど、現代語ではもっぱら過去の事象について言うようになった、ということですね。
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