源氏物語~末摘花~(15)


源氏物語-末摘花-

大輔の命婦は、

「ああ、何てこと。私を油断させておいてこんなことを・・・」と、姫君に申し訳なく気の毒だったので、

知らんぷりをして自分の部屋へ下がってしまいました。

若い女房たちもまた、光る君のお姿が世に並ぶものがない評判なので、

その強引なやり口を非難することもなく、ほとんど嘆きすらいたしませんでした。

ただ思いがけない突然のことで、姫君にお心構えもなかったことを心配しておりました。

ご自身は、呆然として気恥ずかしく、気が引ける以外のことはなく、

「今はこのようなのがしみじみ愛しく思えるよ。まだ世慣れぬ女で大事に育てられてきた人が」

と、そのもじもじするばかりの態度をお許しになる一方、

よく分からない、どことなくかわいそうな気がするご様子だと感じていらっしゃいました。

それにしても、この姫君のどこに光る君はお心を惹かれていらっしゃるのでしょう。

思わずため息をつきながら、まだ夜も深いうちにお屋敷を出なさいました。

命婦は、どうなることかと眠れずに聞き耳を立てながら横になっていましたが、

起きていたことがばれるとまずいので、お見送りいたしましょう、とも言えずにいました。

光る君も、誰にも気づかれぬようそっと密かに出て行かれました。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


おっとりした所が良いのだ、という光源氏は夕顔を忘れられずにいるのでしょう。

まあ、夕顔はもっとしっかりとしたやりとりができましたけどね。

ということで、時間をもてあました光源氏は、まだ夜更けにため息混じりに邸を後にするのでした。

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