源氏物語~若紫~(18)


源氏物語-若紫

光る君はまず内裏に参上なさって、この数日のお話を帝に申し上げなさいました。

光る君を見た帝は、ひどくやつれてしまったことだ、不吉な感じがする、とお思いになっております。

聖の尊さなどをお尋ねになるので、詳しくお話し申し上げなさると、

「阿闍梨などになるべき人物であるようだな。

修行の功徳がそれほど積もってるのに朝廷には知られなかったとは」

と尊いものだとお感じになり、おっしゃっいました。

義父の大臣もそこに参上なさって、

「お迎えにあがろうと思ったのですが、お忍びの外出でいらしたので、

それもどうかと思って遠慮してしまいました。のんびりと一日二日お休みください。

すぐに我が邸にお送りしましょう」

と申し上げなさると、さほど気乗りなさいませんでしたが、

お言葉に引かれて内裏を退出し、大臣邸へとお出かけになるのでした。

大臣は光る君を自分の御車の上座にお乗せ申し上げなさって、ご自身は下座にお乗りになります。

あまり丁重にもてなされることを、光る君はさすがに心苦しくお思いになりました。

邸でも、光る君がお越しになるのだからと心づかいをなさっており、

しばらくご覧にならないうちに、邸内はますます美しく磨きあげたようにすべてが整っているのでした。

女君は、例によって逃げるように身を隠したまますぐにはお出ましになりません。

父大臣に何度も促されてやっと光る君のもとにいらっしゃいました。

絵に描いた姫君のように座らされて、身じろぎをすることさえ難しく、端正できちんとしていらっしゃるので、

心に思うことをちょっと言い、北山での話を申し上げると、その甲斐あって魅力的に返事をなさる、

といった感じであれば、しみじみと心惹かれるのでしょうが、

女君はまったくうち解けることがなく、光る君のことを疎ましく気恥ずかしいものだとばかりお思いになって、

しかも年を重ねるごとに、心の隔たりがましていくので、非常に心苦しく、思わず、

「たまにはあなたのくつろいだご様子を見たいものですね。

耐えがたいほど苦しんでおりました時にも、『具合はいかがですか』とさえお尋ねくださらないのが、

まあ、いつものことであなたらしいといえばそうなのですが、やはり残念でなりません」

と申し上げなさると、かろうじて、

「あなたにとっても訪ねないのはつらいものだったのですか」

と、流し目で光る君に目をおやりになる目もとは、気詰まりがしそうなほど気高く美しい御容貌でした。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


強引に左大臣邸へと連行される光源氏です。ざまあみろ。

ところで、「上座下座制度」って難しいですよね・・・。

部屋の中であれば簡単なのですが。

床柱のところが上座。床柱がない部屋では、入り口から離れた席が上座。

エスカレーターにもあるって前にテレビで見ました。(ー△ー;)マジスカ…

上りエスカレーターでは目上の人が先頭、下りエスカレーターでは逆に目上の人が後ろだそうです。

タクシーに乗る際にもあるんですって。

運転手の後ろの席が上座(①)で、順に横に②→③、助手席が④となるそうで。

まあなんとなくそんな気はしますよね。

では、牛車の場合は?

牛車乗り合い

となるのだそうです。

今回は、光源氏が①の席に、左大臣は②の席に座ったということでしょう。

③、④は空席ですかね?

まあそんなわけで、最後は相変わらずな光源氏・葵夫婦が対面したところで今回はおしまいです。

ではまた。

 

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