源氏物語~若紫~(35)


源氏物語-若紫

光る君からは惟光を向かわせて伝言を託しなさいました。

「参上しようと思ったのですが、内裏からお呼びがあったので。かわいそうな姿を拝見して以来、心が落ち着きません」

この伝言を聞いた少納言の乳母や女房たちは、

「正気とは思えないわ。例のお話が冗談にしても、あれほど強引に迫っておきながら、さっそく代理人を寄こすなんて」

「父宮様がお聞きになったら、私たちが不手際を責められるでしょうね」

「姫も、光る君のことは決して父宮様にお話しになってはいけませんよ」

などと言うのですが、情けないことに紫の君の幼さでは何もお分かりになっていないのでした。

少納言の乳母は惟光にしみじみとしたお話をして、

「今後、しかるべき因縁から逃れられないような出来事が起こるのでしょう。

ただ、今はまったく似つかわしくないと見申し上げていて、

光る君が信じられないことをおっしゃるのも、どういうおつもりでいらっしゃるのかと、私どもは心が乱れております。

今日も父宮がいらっしゃって、『しっかりと姫にお仕えせよ。手抜かりのないように』とおっしゃったのもあって、

光る君の好色な御ふるまいも、以前より気が重くございます」

などと言いはしたのですが、わけあり顔だと思われては困るので、あまり深刻には話しませんでした。

実は、惟光もどういう関係にあるのかよく分からずにいたのです。

二条院に戻って、様子を報告し申し上げると、光る君もしみじみと会いたいお気持ちになるのですが、

お通いになるのもさすがに思慮分別がないように思われて、

「このことが漏れて、軽率で不健全だと噂になるのもまずい」などと気が引けるので、

とにかく迎え取ってしまおうとお思いになりました。お手紙は何通もお出しになり、日が暮れると惟光を向かわせます。

「支障があって自ら参上できないのを、いい加減な人だとお思いでしょうか」

などという言づてに対して、

「父宮様が、明日お迎えをくださると急におっしゃったので、慌ただしいところです。

長年過ごしたこの荒れた邸を離れるのも、何だか寂しくて、女房たちも心が乱れておりまして」

と言葉少なに言うと、ほとんど応対もせず、忙しく縫い物などをしている様子がはっきり窺えたので、帰ることにしました。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


光源氏も自分が変態的な行動をしているのを気にしていらっしゃるようです。笑

そして紫の君が父親に引き取られる日程がはっきりと分かりました。

この後、光源氏が取る行動は次のうちどれでしょう?

①父宮が来る前に紫の君をさらう
②すばやく紫の君をさらって父宮の度肝を抜く
③迅速な行動により父宮を出し抜いて紫の君を盗み取る

正解はどれでしょう、楽しみですね♪

 

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