源氏物語~花宴~(4)


源氏物語-花宴

驚きのあまり呆然としているのが、とても心惹かれるかわいらしいものに感じられました。

震えながら、

「ここに知らない男が・・・」

とおっしゃったのですが、

「私は誰からも何でも許されているのだから、人をお呼びになったところでどうにもなりませんよ。大人しくしなさい」

とおっしゃる声で、女は男の正体が光る君であることを知り、少し気持ちを落ち着けると、辛いことだとは思うものの、恋の情趣を知らない堅苦しい女だとは思われたくないという気持ちにもなりました。

光る君はひどく酔いすぎていたのでしょうか、女を放すことが残念に思われ、女もまた若く女々しかったので、拒否するような強い心も持ってはいないのでした。

かわいらしい女だとご覧になるうち、すぐに夜が明けていくので、慌ただしく感じられました。

女は光る君以上に、あれこれと思い乱れているご様子です。

「文を送るから名を教えてくださいよ。これでお仕舞いになろうとはあなたもお思いではないでしょう」

とおっしゃると、

うき身世にやがて消えなば尋ねても草の原をば問はじとや思ふ
〔このままつらいわが身がこの世から消えてしまったならば、草原に眠る私の墓所を尋ねて来たりはするまいとお考えなのですか〕

という様子は、妖艶で優雅な感じがします。光る君は、

「もっともですね。さっき申し上げたのは取り消します」といって、

いづれぞと露の宿りをわかむまに小笹が原に風もこそ吹け
〔あなたが涙の露をこぼしながら悲しみに耐えつつ住む家を探し歩いているうちに、私たちの噂が小笹が原を吹き抜ける風に乗って広まっては困るでしょう〕

鬱陶しいと思っていらっしゃるのでなければ、隠すことはないでしょう。もしや、はぐらかそうというおつもりですか」

と言い終わらないうちに、女房たちが起きてざわざわし始め、上の御局に入れ替わり立ち替わり参上する気配が激しくなってきたので、光る君は非常に居心地が悪くなって、二人の逢瀬の証として扇を交換して退出なさるのでした。

※雰囲気を重んじた現代語訳です。


扇なんぞを交換して暢気に帰りよってからに。

この逢瀬が貴様に悲劇をもたらすことになることも知らんと、ぶゎかめ!
ルンルン((´I `*))♪

<<戻る   進む>>

 

Posted in 古文 | Leave a comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です