源氏物語~葵~(17)


「院の所に参上して、またすぐに帰って参りましょう。いつも、今のようにわだかまりなくお会いできたら、もどかしい気持ちもなくて嬉しいのですが。母宮様がいつもお側にいらっしゃるので、そこに割り込むのは浅はかではないかと遠慮しながら過ごすのは苦しくて。やはり、少しずつ気を強くお持ちになって、早く普段の御座所にお戻りください。あなたがあまりにも子どもっぽい振る舞いをなさるから、母宮様も離れられずにいらっしゃるのですよ」

などと申し上げなさり、たいそう美しい装束をお召しになってお出かけになる光る君を、いつもよりじっと目をとめて横になったまま見送りなさっています。

秋の除目が行われることになっていたころのことで、左大臣も参内なさるので、昇進を望むご子息方も同行なさるのでした。

結果、邸内は人も少なく、もの静かになりました。

その時でした。

突如としてあの症状が再び御内室を襲い、胸が詰まって非常に激しく苦しみ出したのです。

そして、内裏にご連絡申し上げる暇もなく、あっという間にお亡くなりになってしまいました。

地に足も着かないほど慌てふためきながら誰も彼もが内裏を御退出なさったので、除目の夜だったのですが、このようなやむを得ない事情だったので、官吏任官はすべて白紙撤回となってしまいました。

生き返らせようと大騒ぎなさるのですが、夜中だったため、比叡山の天台座主も他の寺院の僧侶たちもお呼びになることができません。

もう大丈夫だろうと油断していただけに、この急展開に左大臣家の方々は周章狼狽してどうしたらよいのかわからずにいます。

あちらこちらからの弔問の使いがひっきりなしに訪れるのですが、取り次いでもらうことができず、人があふれかえっており、そこにも左大臣家の激しい動揺が恐ろしいほどに見て取れました。

御物の怪が度々取り憑いて苦しめていたことをお思いになってみれば、あの時も死んだように思われたことがなくもなかったので、御枕などもそのままに寝かせておき、息を吹き返しはしないかと二三日様子を伺っていらしたのですが、次第に死相が強くなる一方だったので、もはやこれまでと見切りをつけなさる時の悲しみは言いようもありません。

光る大将殿は、妻の死という悲しみに加えて生き霊の正体も御覧になってしまったので、しみじみ男と女の関係が嫌になってしまわれ、中には光る君と深い仲になっているお方のご弔問もあったのですが、それらもすべてただただ厭わしくお思いにならずにはいられませんでした。

※雰囲気を重んじた現代語訳です。


急転直下、突然葵の上が他界してしまいました。
(||゚Д゚)ウソデショ(゚Д゚||)

無事に出産して後産も順調だとみな油断して邸内が人少なになった隙に、ということは、書かれていませんけど、隙を突いて六条御息所の生き霊がとどめを刺しに来たのでしょうか。

葵の上のご冥福を祈りつつ。

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